勇者様と従者さま。
「ですけど!」
エヴァが声をあげた。
「わたしがあの方を傷付けたんです。わたしが…」
力をなくしていく声。
…その頭に、アーサーはぽんと手をのせた。
「…彼は、あなたのおかげで人間として逝けたんだ。その気持ちは受け止めろ」
「…はい」
「…泣いてもいいから」
軽く、髪を撫でた。
エヴァ様はどうしたろう、と考える。
夜、アーサーは自分の部屋にいた。
エヴァはあのあと少し涙ぐんだものの、夕食どきにはきちんと姿を現した。
しかし表情にはまだ影を残していた。
責めるつもりもないし、責められることでもない。
幼いころから騎士を目指して修練を積んできたアーサーでも、初実戦の後はしばらく不安定だったのだ。
ましてエヴァはただの少女だ。
本来ならしばらくそっとしてやりたいが…しかし、彼女の背負っているものは重い。
勇者として、聖剣の勇者として、戦わなくてはならない。
従者としては一刻も早く勇者を旅立たせるべきである。
(もう一日だけ…様子を見よう)
アーサーは嘆息し、寝台にもぐりこんだ。
眠りに落ちる前に、ドアが遠慮がちに叩かれた。
「従者さま…エヴァです」
エヴァが声をあげた。
「わたしがあの方を傷付けたんです。わたしが…」
力をなくしていく声。
…その頭に、アーサーはぽんと手をのせた。
「…彼は、あなたのおかげで人間として逝けたんだ。その気持ちは受け止めろ」
「…はい」
「…泣いてもいいから」
軽く、髪を撫でた。
エヴァ様はどうしたろう、と考える。
夜、アーサーは自分の部屋にいた。
エヴァはあのあと少し涙ぐんだものの、夕食どきにはきちんと姿を現した。
しかし表情にはまだ影を残していた。
責めるつもりもないし、責められることでもない。
幼いころから騎士を目指して修練を積んできたアーサーでも、初実戦の後はしばらく不安定だったのだ。
ましてエヴァはただの少女だ。
本来ならしばらくそっとしてやりたいが…しかし、彼女の背負っているものは重い。
勇者として、聖剣の勇者として、戦わなくてはならない。
従者としては一刻も早く勇者を旅立たせるべきである。
(もう一日だけ…様子を見よう)
アーサーは嘆息し、寝台にもぐりこんだ。
眠りに落ちる前に、ドアが遠慮がちに叩かれた。
「従者さま…エヴァです」