勇者様と従者さま。
 ナナイの腕の中でエヴァが身を強張らせた。

 まさに彼女が心配していたことだ。

 討伐隊員たちも黙り込む。

「よろしくて?…さあ、荷物をまとめなさいな。あたしと王都に帰りましょう?王都で警備をしてほしいのよお」


 まだざわめきながらも、討伐隊員たちが大広間を出ていく。

 エヴァが身じろぎをする。

 ナナイはエヴァに抱き着いたまま話していたのだ。

「…ほんとは、最初から討伐隊いらないって言おうかと思ったのだけどお」

 ナナイが小声で言う。

「…おぬし、魔物のことを、いやすべてを知っていたな」

 シュリの声がした。


「わ、シュリ、駄目ですよ!敬意を払ってください!」

 ナナイは笑って首をふる。

「いいのよお…出ていらっしゃって、聖剣。挨拶したいわ」

 シュリのため息とともに、白い子供が現れた。

「まあ、かわいいこと!こんにちは、あたしはナナイ」

 シュリは面倒そうに肩をすくめて、

「シュリだ。…それで?何を言いたい」

「さすが聖剣ねぇ、会話を楽しむつもりはないのかしら」

 からかうような調子のナナイ。


「お察しのとおり、エヴァに神託を下したのはあたしよ」

 三人が息を呑む。

 この巫女が、エヴァに背負わせた…

「残念ながらこの神託は本物。あたしには予知の力があるの。…まあ、それが神の言葉かどうかは知らないけど」

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