勇者様と従者さま。
「かわいそうなことをしたかもしれないわ。だけどどうしようもなかったの。建国以来の危機なのよ。聖剣の勇者が必要だったの」

 シュリが頷く。


 ナナイはいったん言葉を切って三人を見回した。

「冷静に聞いて頂戴ね。このままじゃあなた達負けるわ。国は滅びる。今あたしに見える未来はそうなっているの」

「それって…!」

「…落ち着いて、エヴァ。あくまで今の時点での未来よ。変えられる。変えてみせるわ」

 ナナイは婉然と微笑んだ。どこか不遜にすら見える笑顔だ。

「あたしはこの力を使ってあなた達を助けるわ」

「どういう、ことです」

 アーサーが問いかけた。


「あたしは見えた未来をつなぎあわせてより良い道を探る。それしかできないけれど…それでも、あなた達を導くことはできるわ。これを持っていきなさいな」

 ナナイは懐を探り、一枚の鏡を取り出した。

 エヴァが受け取る。一見何の変哲もない古びた鏡だ。


「失われた技術!?秘宝じゃないか!」

 アーサーが驚きの声をあげた。

「えっ秘宝ってまずくないですか!?うっかり落として割ったりしたら!」

 慌てるエヴァ。

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