勇者様と従者さま。
カレンは話し続けた。
三人は言葉もなく聞き入る。
「あたしが今日結婚したのは…親友の恋人。いい奴だよ。幼なじみだし、仲もよかった。だけどやっぱり、マリナのこと思ったらどうしても受け入れられなかった」
マリナ、というのがその親友の名前なのだろう。
「だけどあいつはさ、マリナのことなんか覚えてない。そんで、なんの疑いもなくあたしのこと愛してるっていうの。なんかもう…耐えられないよ。だから逃げてきた」
「…あの追っ手は?」
アーサーが聞いた。
「ああ…あの家町長の家だから。警備の人とかいっぱいいるの。あいつは<恋人>の様子がおかしいのを本気で心配してるんだ。それで追わせたんだろうね。…大丈夫、ここにはこないよ、時計台の職人はいなかったことになってるから」
カレンはさみしげに笑った。
「取り乱してごめんよ。…信じられない話だろ?あんた達もあたしのこと頭おかしいって思うかい?」
エヴァは言葉に詰まった。
たしかに、にわかには信じられない。だが…
「信じ、ます」
カレンは目を見開いた。
「あたしが言っといてなんだけど…あんた本気?」
「だって、カレンさん、そういうふうに見えませんもの」
カレンの目から、また涙がこぼれた。
「ありがとう…」
エヴァがそっとカレンに寄り添って、ハンカチを差し出した。
「…だけど、これからどうしよう…あたし」
カレンが小さく呟いた。
この街に彼女の居場所はない。
彼女は何もかも失ったのだ。
自分が信じてきた生活が突然すべて崩れ落ちたら…
その苦しみは、想像もつかない。
アーサーは目を伏せる。
となりでシュリが何かを考えこむような険しい顔をしていた。
三人は言葉もなく聞き入る。
「あたしが今日結婚したのは…親友の恋人。いい奴だよ。幼なじみだし、仲もよかった。だけどやっぱり、マリナのこと思ったらどうしても受け入れられなかった」
マリナ、というのがその親友の名前なのだろう。
「だけどあいつはさ、マリナのことなんか覚えてない。そんで、なんの疑いもなくあたしのこと愛してるっていうの。なんかもう…耐えられないよ。だから逃げてきた」
「…あの追っ手は?」
アーサーが聞いた。
「ああ…あの家町長の家だから。警備の人とかいっぱいいるの。あいつは<恋人>の様子がおかしいのを本気で心配してるんだ。それで追わせたんだろうね。…大丈夫、ここにはこないよ、時計台の職人はいなかったことになってるから」
カレンはさみしげに笑った。
「取り乱してごめんよ。…信じられない話だろ?あんた達もあたしのこと頭おかしいって思うかい?」
エヴァは言葉に詰まった。
たしかに、にわかには信じられない。だが…
「信じ、ます」
カレンは目を見開いた。
「あたしが言っといてなんだけど…あんた本気?」
「だって、カレンさん、そういうふうに見えませんもの」
カレンの目から、また涙がこぼれた。
「ありがとう…」
エヴァがそっとカレンに寄り添って、ハンカチを差し出した。
「…だけど、これからどうしよう…あたし」
カレンが小さく呟いた。
この街に彼女の居場所はない。
彼女は何もかも失ったのだ。
自分が信じてきた生活が突然すべて崩れ落ちたら…
その苦しみは、想像もつかない。
アーサーは目を伏せる。
となりでシュリが何かを考えこむような険しい顔をしていた。