勇者様と従者さま。
「あ…従者さまっ?」
エヴァが即座に声をかける。
足音の主はやはりアーサーだった。
アーサーもこちらに気付き、駆け寄ってきた。
だが顔色が真っ青である。
「従者、さま…?どこに行って…」
エヴァの問い掛けにも答えず、アーサーは、
「…出た…!」
ただならぬ様子で、呟いた。
「えっ…出たって!まさか」
エヴァの期待に満ちた眼差し。
「幽霊というやつか」
シュリも、露骨ではないまでも面白がる様子を隠そうとしない。
「認めたくはないがな…!」
アーサーが呻くように言う。
「ええええええ!!ほっほんとに!ほんとに!?いいですねえ!どんな幽霊でした?ほんとに足がないんですか?ねえっ!」
興奮してまくし立てるエヴァ。
アーサーはもうそれにつっこむ気力もない。
…ただ。
「エヴァ様と似たような…ああ、そこに落ちている絵にそっくりだ」
アーサーが示したのは、先程魔物が落とした…つまり、よりしろとしていたらしき紙である。もちろんアーサーはそんなことは知らないが。
エヴァもシュリも気に留めていなかったので、今の今まで放置されていたのだ。
「絵…?」
シュリが拾い上げて、それを開く。
どうやら肖像画のようである。
描かれているのは二人の少女。
背の高いほうは、金髪に豪奢なドレス。
低いほうは、エヴァと同じ明るい茶髪を肩に流し、清楚なドレス姿だ。
どちらも、人形のように愛らしい。
ただ、ドレスのデザインや、絵の具の劣化から見て、相当年月が経っているらしかった。
「…あれ、この金髪の女の子、さっきの」
「ああ。どうやら…憑依した肖像画から姿を借りていたようだな」
エヴァとシュリが気づく。背の高い少女の姿は、魔物にそっくりだった。いや、魔物が少女にそっくりだと言うべきだろうか。
「だが…従者の話では、その幽霊は、そちらの娘らしいな」
シュリは茶髪の娘に目を向ける。
…そのとき。
しばらく黙っていたナナイが口を開いた。
「…ちょっと、いいかしらあ?」
エヴァが即座に声をかける。
足音の主はやはりアーサーだった。
アーサーもこちらに気付き、駆け寄ってきた。
だが顔色が真っ青である。
「従者、さま…?どこに行って…」
エヴァの問い掛けにも答えず、アーサーは、
「…出た…!」
ただならぬ様子で、呟いた。
「えっ…出たって!まさか」
エヴァの期待に満ちた眼差し。
「幽霊というやつか」
シュリも、露骨ではないまでも面白がる様子を隠そうとしない。
「認めたくはないがな…!」
アーサーが呻くように言う。
「ええええええ!!ほっほんとに!ほんとに!?いいですねえ!どんな幽霊でした?ほんとに足がないんですか?ねえっ!」
興奮してまくし立てるエヴァ。
アーサーはもうそれにつっこむ気力もない。
…ただ。
「エヴァ様と似たような…ああ、そこに落ちている絵にそっくりだ」
アーサーが示したのは、先程魔物が落とした…つまり、よりしろとしていたらしき紙である。もちろんアーサーはそんなことは知らないが。
エヴァもシュリも気に留めていなかったので、今の今まで放置されていたのだ。
「絵…?」
シュリが拾い上げて、それを開く。
どうやら肖像画のようである。
描かれているのは二人の少女。
背の高いほうは、金髪に豪奢なドレス。
低いほうは、エヴァと同じ明るい茶髪を肩に流し、清楚なドレス姿だ。
どちらも、人形のように愛らしい。
ただ、ドレスのデザインや、絵の具の劣化から見て、相当年月が経っているらしかった。
「…あれ、この金髪の女の子、さっきの」
「ああ。どうやら…憑依した肖像画から姿を借りていたようだな」
エヴァとシュリが気づく。背の高い少女の姿は、魔物にそっくりだった。いや、魔物が少女にそっくりだと言うべきだろうか。
「だが…従者の話では、その幽霊は、そちらの娘らしいな」
シュリは茶髪の娘に目を向ける。
…そのとき。
しばらく黙っていたナナイが口を開いた。
「…ちょっと、いいかしらあ?」