enjoy!

 「愛華、もう行ったほうがいいんじゃ
  ない?」

 「あ、うん。」

あたしは時計を見ながら言った。
もうほとんどの人は職員室の前にいるん
だと思う。
ほら、あの人たちってテニス大好きだし。

 「おお。愛華がビリか!」

 「いや、そんなビリとかいいじゃないで
  すか…。」

男子の先輩のからかいにも、あたしはいい
加減慣れてきた。
まぁ、皆悪い人たちじゃないんだけど。

 「…5日前ってことは、調整だよな?」

隣にいた蓮がそう呟く。

 「ああ…。嫌だなぁ。
  めいっぱいうたせてもらえないし!
  なぁ、愛華?そう思わね?」

歩斗にいきなり話をふられて、声が上ずっ
た。

 「ん、ああ…。そだね。」

 「なんか…変な愛華!」

 「んなことないですよ!!!」

ああ…日花梨先輩までっ!
ヤバイな、あたし。
態度に出てるよね…?

 「愛華、今日の音楽で喉痛めたって。」

 「え、蓮。」
< 116 / 267 >

この作品をシェア

pagetop