enjoy!

　「遠田、体重をしっかりのせて！」

　「あ、はい！！」

海葉のコーチは少し乱暴な言葉遣いの人だ
けど、選手一人一人をよく見ている。

　「よくなってきた。」

　「ありがとうございます！」

体重移動を意識することで、あたしの打った
ボールは遠くに落ちるようになった。

　「あともうひとつ言うと…。
　　もう少し身長を伸ばしなさい。」

　「はい？」

まぁ、背は高い方が有利だけど…。
今言うことなのかな、それ…。

　「基山ー、膝伸びてるぞー。」

　「はい！」

そんな蓮も、フォームの美しさを褒められて
いた。

　「遠田、あんたって全国行ったことあるん
　　だって？」

　「ジュニアのときに何度か…。」

隣で打っていた大庭さんが話しかけてきた。

　「あの、西田も？」

　「先輩も何度かあるはずですよ？
　　どうしてですか？」

大庭さんはあたしをみて少し笑った。

　「ん？そりゃ…ねぇ？」

じれったいなぁ、この人。

　「なんですか～。気になりますよ！」

　「またまた！わかってるくせに！」