enjoy!
「どんくさいな、お前は…。」
歩斗があたしの手をとって、そのままパ
ーカーのポケットに入れた。
…なにこれ…近いよ。
「ちょ…。」
「早く行くぞ!
先生にパレだらヤバイし!」
「…これって先生に許可取ったんじゃな
かったの?」
歩斗がきょとんとした表情をみせる。
…蓮。
アイツってやつは…。
「無断でやるから楽しいんだろ?
さっさと行こうぜ!」
左手があったかい。
歩斗の肩があたしの頭に触れるたびに胸が
高鳴る。
「…練習。どうだった?」
「あ?別に…。
笹嶋さんがめっちゃ上手かった。」
なんか無愛想だな…。
「…そっか。
こっちは一ノ瀬さんと佐伯先輩が張り
合ってて面白かったよ。」
「なんだそれっ!」
超近距離で目が合った。
…恥ずかしすぎる。
こんなに近いのに…届かないよ。
「…気をつけろよ。」
「…なにが?」
歩斗の声が聞こえない。