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 「ありがとうございます。」

あたしは直弥さんに小さくお辞儀をした。

直弥さんは、現在大学生で小1の時からソフトテニスをやっている大ベテランだ。

 「日花梨ちゃんも愛華ちゃんも、あ
  んまり嬉しそうじゃないね?」

いつもと変わらない笑顔で直弥さんはそう言った。

 「なんか、想像と違うんですよ。
  本当はもっと白熱した試合して、その
  結果優勝!みたいな流れで行きたかっ
  たのに…」

日花梨先輩が髪をかきあげて言った。

 「結果、4-0で快勝って…。」

あたしは深いため息をついた。

ジュニア育ちが少ない南地区は、都の中でも最弱だと言われている。

あたしと先輩は数少ないジュニア育ちだけど、いい成績でも都でベスト16。

都大会でべスト8に入らなくては、関東大会へと駒を進めることは出来ない。

 

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