enjoy!
 「おっ!やっぱりクッキー作ってた
  んだ!」

 「歩斗!!!」

調理室のドアから顔をのぞかせていたの
は歩斗だった。

 「どうせ、オレの分もちゃんと作って
  るんだろ?」

 「そんなことどうでもいいから!
  それよりも、都に出るってマジ!?」

 「…?なんのことだよ?
  愛華、汗スゲェぞ??」

歩斗がタオルであたしの汗を拭いた。
てか、こーゆーのって本当は女子がやること
なんだけど…

 「ゴメン…なんか焦ってて!」
 
 「焦るって何を?」

 「何って…。てか、歩斗!授業は?」

なんで歩斗がここにいるんだろ?
あたし気づくの遅すぎ!

 「体育で突き指して、保健室寄ったついで!」

歩斗はあたしに左手の小指をみせた。
歩斗の小指は湿布とテープでぐるぐるに
されている。

 「バカじゃん!」
< 60 / 267 >

この作品をシェア

pagetop