enjoy!
 「痛っ…。」

左の肘を少しすりむいてしまったみた
いだ。
少し血がにじんでいるのがわかる。

 「あんたさえいなければ、私は今頃
  日花梨と組んでたのに…。
  しかも、先生のお気に入りで皆の
  アイドルだもんね。
  ウザい。超ウザい!!」

あたしのスネを軽く蹴って、野中先輩は
部室を出て行った。

…最悪。
あたし、野中先輩になんかしたっけ?
てか、あたしってそんなに嫌なヤツだった
んだ…。

 「愛華!?」

 「…歩斗。」

相変わらず…タイミングの悪いヤツ。
なんでこんなダサい姿を見せなきゃい
けないんだろ?

 「どうしたんだよ?その怪我!」

 「え…?バランス崩しちゃってさ。」

あたしは苦笑いをして立ち上がった。
左の肘がまだ鈍く痛むけど、それ以外の
変化は感じられない。

 「野中先輩となんかあったんだろ?」

 「なんにもないよ!
  早く行かなきゃ!」

あたしは歩斗から逃げるようにして、部室
からカゴを持ち出した。
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