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迷宮

気持ち

 「笹嶋さんかぁ…。」

写真を見て、あたしはため息をついた。
歩斗曰く、あたしはこの笹嶋さんにナン
パされたらしい。

 「カッコイイよねぇ。
  …歩斗には負けるけど。」

あたしはハッとして口をおさえた。
…あたし、今なんて言った?

歩斗のこと、カッコイイって…?
まさか。何言ってんだろ?

でも、カッコイイと好きは違うよね?
そんなことを考えてると、あたしは胸が
キュッと締め付けられるような気持ちに
なった。

…何コレ。
なんか、あたしが歩斗のこと好きみたい
じゃん。

そんなことないよ。
あたしと歩斗は幼なじみで、小さい頃か
らずっと一緒で…。

 「ずっと…あたしの1番大切な人。」

そう呟いた瞬間にあたしは後悔した。
バカだな、あたし…。
こんなにも近くに大切な人がいるのに…
全然気づかなかったんだ。

もっと早くに素直になればよかったのか
な?
やっと気づいたよ、あたし。

誰かが教えてくれると思ってたのかもね。
こんな気持ち、初めてだし…。
誰にも言ってなかったから…。
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