本当にセカイを敵に回した奴
姿を見せたのはやはり少女だった。炎のように紅く染まった髪をポニーテールに結った、小柄で勝ち気な瞳をした少女、いや、美少女だった。
か、可愛いなこいつ……。
束の間、見入ってしまった俺だったが、現状を思い出しハッと我に返る。
「いや……。それ以前にお前は一体誰なんだ」
カプセルをちら見しながら言うと、少女は不機嫌な顔になって、
「アタシは宇宙人だっ!」
そっかー、地底人じゃなかったんだ。なんかホッとしたー……、
「ってお前地面から出てきただろうが! なんで宇宙人なんだよ!?」
「この星の反対側から突っ込んできたんだっ!」
マジかよ。こいつブラジルから地面に突入してきたってのか。
「この星、てーか地球の中心は物凄く暑かったんだぞっ!」
ああ。それでさっき裸だったわけね。納得。
「でも宇宙人って言う割にはお前、地球人そっくりじゃねえか。しかも日本語喋ってるし」
少女はどこからどう見ても地球人だ。それも結構日本人寄りの。いくらなんでも彼女を地球外生命体と呼ぶには無理があるように思われた。
だが少女は、ふんっ! と鼻を鳴らして、
「たまたまだなっ!」
「そんな言葉で片付けちまっていいのかよ!?」
宇宙って案外適当なのだろうか。
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