本当にセカイを敵に回した奴
なんかいまいち少女が宇宙人だと信じられない俺だったが、彼女の傍らに転がるカプセルだけはどうにも地球製ではなさそうなので、ひとまず三割くらいは信じてやることにした。
「んで、宇宙人のお前は地球に何をしにきたんだ 」
「アタシは地球に用があるんじゃない! オマエに用があるんだっ!」
少女はビシイッ! と俺に人差し指を突きつけた。
「お、俺に用……?」
「ああ!」
宇宙人が俺に用? どんな用があるってんだ。まさか俺が実験に最適な人材だとか言ってアブダクションじゃないだろうな。
瞬間、脳裏に浮かんだ身の毛もよだつような光景を、俺はぶんぶん頭を振って振り払った。
「一体どういうことだ……?」
にわかに不安が込み上げ、こめかみに嫌な汗を伝わせながら顔を上げるが、少女は急に顔を伏せて答えない。しばらく無言で少女を見つめても何も言葉を発さなかった。
「……? どうしたんだよ」
訝しみながら言うと、俯き気味だった少女は、
「う……うう~っ」
いきなり苦しそうに呻きながら、ばたんとその場に倒れ込んだ。
な、何が起こったんだ。地球の環境に適応できずに自滅したのか。なんて考えを巡らせる中、奇妙で珍妙な音が鳴り響いた。
――ぐぎゅぎゅぎゅるるるるるるる~。
「お、お腹すい、た……がくっ」
……どうやら、宇宙人でも腹は減るようだった。
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