Love.Love.Loving!
〝あの人〟と唇が重なったあと、やけにリアルに感じた冷たいって感覚。
それにぱちっと目が開いて、がばりと身体を起こしたあたしの目の前、には。
ブラウンのビー玉みたいな綺麗な瞳であたしを見つめる〝あの人〟……ではなく、希唯君。
『っ!!』
そのあまりの顔の近さにぎゃっ!と後ずさり。ななななんでそんな至近距離に居るのバカぁ!
ドクバクと目が覚めて早々に暴れさせられるあたしの心臓さんが一瞬止まりかけた。危なかった。
希唯君ってば、そんなにあたしのこと殺したいの?
ていうか希唯君にその気がなくても、美男子さんイケメンさんたちがするそういう行為はあたし筆頭とする凡人の人たちからしたら立派な殺人行為だからやめて。お願いします本当に。
なんて、暴れる心臓を押さえながらつらつら、早口でそんなことを心の中で述べるあたし。
かあっと赤く染まった顔で希唯君から距離を取るあたしに希唯君は「大丈夫?」すっと伸ばす手を頬っぺたに添える――。
『――や…っ、』
パシッ。乾いた音が部屋に響いた。希唯君の手が行き場をなくす。……あ、あたし…っ。はっとなったときにはもう遅かった。
驚きで一瞬目を開いた希唯君はすぐに悲しそうな、泣きそうな表情をした。