Love.Love.Loving!
「ちーがーう。ごめんねじゃなくてなにが違うのか聞きたいの」
声も表情と比例して不機嫌な音。
そんなこと言われても言えないものは言えない。希唯君と〝あの人〟が重なったから手を払った、なんて。
ムッとした綺麗な顔があたしを見つめる。たぶんあたしが口を開くまでずっと希唯君はこのまま。
希唯君に見つめられるのは心臓に悪い。
ドキドキなんか通り越してバクバク騒ぐから苦しくて、呼吸もしにくくなる。
顔もカカカッてどんどん真っ赤になって、さっきの廊下のときの熱がぶり返したみたいにもう湯気が立ちそうなぐらいあっつあつ。
て、てか、あたし、希唯君に何回赤くなったらいいんだろ…。
ていうかやだ。こんなすぐに好きな人じゃない希唯君に赤くなる自分が嫌。一途に好きなのに、バカバカバカ。
『…っ、…い』
「え?」
『っ言え…な、いよぉ…』
今日で何回目か。ぐにゃぐにゃと視界が浮かんだ涙で歪む。
下を向いて、希唯君から顔を逸らしたあたしはかぶりを振りながら踏んでいる白いシーツをギュッと握った。
それから、少しの沈黙。
と、ギッ、ギッ、とベッドのスプリングが鳴く音。だけどそれもすぐに止んで、
『(――っ、あ、)』
あたしはいつも気づくのが遅い。