Love.Love.Loving!
「(あー、もー…、俺バカ…。弱すぎ)」
涙を拭ってくれながら、希唯君が心の中でそんなこと思っているなんて知らなくて。
〝泣いても今度は許さないよ〟
そんな少しきついセリフとは裏腹に、こうやって優しく甘い希唯君に頬っぺたがピンク色に染まって、心臓がドキドキ脈を打つ。
…って!ダメダメダメーッ!!バカバ香彩!希唯君に頬っぺたぽっ(ハート)とか、ドキドキとか禁止!です!!恋する乙女モードになっちゃいけません!めっ!
なーんて、脳内香彩(複数)にすぐさま叱咤されながら、
『(恋する乙女モード停止!停止!)』
まるで呪文を唱えるみたいに、ピンク色の頬っぺたとドキドキ煩い心臓に向けて心の中でぶつぶつと繰り返すあたし。
と、
「…で、どういうことなの?香彩ちゃん」
あたしの止まった涙を見て目元から指を離した希唯君は、さっきの実はちょっと可愛いとかこっそり思ってしまった表情を大きな目を尖らせた真剣なものに変えた。
戻ってしまった話にビクッ、肩を上げたあたし。
白々しく『……な、なに、が…?』なんて言ったあたしは近年稀過ぎる度胸を見せたと思う。
逃げられないのはわかっていても、舞い戻してほしくなかったと思うのが心の底からの本心。
希唯君は「だからっ、」と、少し声を荒らげた。