Love.Love.Loving!
むっすり、相変わらずの膨れっ面で、どこか少しエラそーに自信ありげにすっぱりとそう言い切った希唯君に、あたしは驚き桃の木山椒の木。つまりはガチでびっくりしている。
記憶を遡らなくても、希唯君を恋愛として好きだと言ったことは断じてない。
希唯君を信じるっていうことは、希唯君の気持ちを言葉をもう疑ったり否定したりしないってこと。ちゃんと、向き合うってこと。
たぶん希唯君はあたしに〝好きだから信じる=恋愛として好き〟の方式を立てているんだと思う。
でもあたしはそうじゃなくて。あたしは〝好きだから信じる=人として好き〟の方式を希唯君に立てている。
誰も人の心の中を見ることなんてできるわけないから、あたしが希唯君と違う方式を立てていることを希唯君が知らないのは当然で。
あたしがびっくりした理由は、恋愛として好きって言ってないのに。その前にも希唯君じゃない好きな人がいるって言ってるのに。
ただ希唯君を信じるって言っただけで、自信ありげに――ううん、もうあれは自信満々だった――あたしが希唯君のことを好きだと断言したこと。
希唯君じゃない好きな人がいるなんて、はっきり言っちゃえばあたしの気持ちは希唯君には向いてないって言ってるようなもの。
本当にそれだけでなんで、どうして、自信たっぷりにそう言えちゃうの?
極度のマイナス思考で、自信も度胸も根性もほぼ皆無なあたしにはできることじゃなくて、同時にそんな希唯君が酷く羨ましい。