Love.Love.Loving!
『……ち、違う、よ』
ぐるぐる、モヤモヤ。別に感じなくてもいい劣等感が胸の中に渦巻く。それがなんだか気持ち悪くて、今すぐ吐き出してしまいたい。
けど、希唯君本人に向かって言えるわけがない。ううん、言いたくない。響や奏君に思われたくないのと同じで、希唯君にも〝嫌な奴〟なんて思われたくない。
もうすでにうざいとか面倒くさいとか思われてるけど、それだけは嫌だ。汚い自分は見せたくない。
「違わなくねぇの!香彩は俺のこと好きなの」
喉から絞り出した蚊が鳴くような声を聞き逃すことなく拾った希唯君は、なんだかだだっ子みたいだけどまたしても言い切る。
そんな希唯君に劣等感は募る、募る。
希唯君の顔を見てたら〝なにか〟を言ってしまいそうで。俯いたあたしに、
「ていうかまた〝違う〟って言った。さっき俺の手叩いたときも言ってたよな――あ!さっきのなにが違うかはまたあとでちゃんと答えてもらうからな!忘れてねぇんだぞ俺は。香彩も忘れたとかなしだからな」
なーんて、表情を見ていないからわからないけど、口調だけだったら拗ねているようなそれでペラペラと言う希唯君。
言い終えると、髪の隙間から俯いているあたしの頬っぺたに手を添えて、それは輪郭を確かめるように動いて指が顎にかかる。
そのままなんの抵抗もなくクイッと軽く上向かされてかち合ったブラウンの瞳は悪戯にすっ、と細められ。
にやり、弧を描いた唇が、開く。
「――もう諦めろ」