Love.Love.Loving!
「……拒否ってんなよ」
ぽつり、独り言のように小さく紡がれた言葉に反射的に瞑った目を開ける。
と、目の前――5センチぐらいしか離れていない先にはむっつりと少し拗ねた希唯君の美顔。
それにかあああっと一瞬で真っ赤になったのは言うまでもなくて、逃げようとしても顎に指はかけられたままだから不可能。ノー!!
逃げる以前の問題で動くことすらできないあたしの目と希唯君の目がかち合う――「普通とかありえねぇんだけど」…え?
かち合って、ドキンッ、と大きく高鳴った胸はドキドキとそこから煩く騒がしく高鳴り始める。
こんな超至近距離にそんな綺麗な顔を持ってこられたら息をするのも気を使う。ていうかほぼ停止。
だってなんか息かかるとか恥ずかしいし…っ。
そんなあたしの乙女な心情とは真逆に希唯君はそのままの距離で唇を開く。その度に息がかかってくすぐったくって、同時に羞恥心は向上。
あたしが恥ずかしいって思って気を使っていることを希唯君は平気でやって、それにあたしが恥ずかしがってるってなんかあたしが異常な恥ずかしがりやさんみたいじゃん…。
なんてことを思いながらすぐ眼前の希唯君にどうしたらいいのか、ただするのはドキドキと胸を高鳴らせて潤む瞳の中に希唯君を映すことだけで――。
希唯君は言葉を続ける。
「俺ね、恋愛で好きか嫌いか聞かれて〝普通〟とかいう答えはなしだと思うんだよね」
『…、』
「嫌いな奴とは絶対に付き合いたくないし、好きな奴とは付き合いたいし。でも普通って思ってる奴に対して、好きでも嫌いでもないんだからそんなこと思わないでしょ?」
『…、』
「〝普通〟は恋愛対象外なの」
『…、』
「だから香彩は俺のこと普通とか言ったけど、俺が香彩のこと好きって言ってんだから、香彩も好きか嫌いかで答えて」
『……え、』
「――好きでしょ?」