Love.Love.Loving!
『…、』
ああ、もう、またそうやって言う。希唯君が顔を近づけてきたおかげでそれから逸れてちょっとは抑えられそうだった感情がもとに戻る。
ふつふつと、わき出て溢れる。耳まで赤くした熱がだんだん冷えていく。バッカ。希唯君のバカ。
希唯君が言っていることはわかる。確かにそうだな、って頷ける。
けど、最後の恋愛対象として好きか嫌いかをどうして答えなきゃいけないのかよくわからない。
希唯君があたしのこと好き、って言ってるんだからあたしも、だなんて、希唯君自己中だ。
あたしが好きと答えたらどうなるか結果は見えている。なら、嫌いって答えたら――って、これももう見えてるじゃん、結果。
考えるまでもないこと。希唯君はきっと変わらず自信ありげにきっぱりと〝諦めない〟こう言うに決まってる。
だって希唯君はそういう人だから。あたしが羨む人格の持ち主だから。
――だから、あたしは我慢できなくなった。耐えられなくなった。勝手に抱いた醜い感情に限界がきて、口を開いてしまった。
『……な、んで、』
「ん?」
『なんで、そうやって決めつけられるの…?あたし、好きな人いるって言ったのに、なんで…、』
「俺のこと好きだと思うから」
『…っ、』
「――なーんて、まあそれは強がりみたいなもんなんだけど、(信じるとか言って他に好きな奴いるとか普通に落ちたし)」
『…、』
「決めつけんのは、俺が香彩のこと好きだから」
『…、!』
「香彩は俺のこと好きって決めつけてたら、香彩もだんだんその好きな奴より俺の方が好きになってくるでしょ?」