Love.Love.Loving!
セリフの通りムカついてる――怒ってる――というよりは、ここのところずっと表情を変えては浮かべてるむすっとしたふて腐れた表情。
ご機嫌ななめなそんな表情で、タコの口以来のまぬけな顔をまたあたしにさらさしている悪魔な希唯君(しかもこれ、またあとから吹き出すパターンなんでしょ絶対そうでしょもう間違いないからね!)。
なんで怒っているのか、しかも〝超〟がつくほどに。
それも気になるけどまずはむにゅっと摘まれた分だけ伸びたちょっとだけ痛い頬っぺたから、ていうかこのまぬけ面から一刻も早く解放されたい結局はいつだって乙女なあたし。
まぬけ面はあの究極に酷いタコの口だけでいいのですっ!
頬っぺたを摘む希唯君の手に触れようとした――その、タイミングで。
「たってたってよっこよっこ、」
『!?』
「まーるかいてチョン!」
『…っ、!!』
い…、い、いったい~!!
酷い酷い酷いバカッ!!バカバカバカ!!希唯君のアホッ!オニッ!アクマッ!!なにすんのよバカ~ッ!!
歌に合わせていきなり頬っぺたを縦にしたり横にしたりくるりと回したり(しかも縦と横は二回づつ)、最後にはそこから勢いよく指を離して弄んでくれた希唯君。
縦と横とくるりと回すまでは希唯君も遠慮してくれたのかそこまで、ていうか全然痛くなかった。
でも最後の〝チョン!〟のとき!あそこは遠慮がなさすぎたと思います。
乙女に対して出してはならない力を出してきた希唯君はきっとあたしをそのときは一切女の子として見てなかったと思う。