Love.Love.Loving!
『(きゃー!!)』
やけに〝俺と〟を強調してそう言った希唯君がすぐさま行動に移してくる。
頬っぺたに添えているあたしの右手の上に男の子をした左手を添えてきた希唯君。
心の中のあたしはそんな本気な希唯君に悲鳴を上げてるけど――ダメ。希唯君とちゅ、チュウ…なんかしない。断固阻止するんだ!
あたしに左手を添えて、そこから次の流れでいくと顔を近づけてくる。
よしっ!と気合いを入れて今一度希唯君の顔をしっかり見据えるあたし。
…う、わっ!!
見据えてコンマ一秒。すぐに希唯君が放つこのとき特有の大人な雰囲気、妖艶さに気圧(けお)された。
その色気漂う伏し目がちな目が一番やばいです…。
たった一歳しか変わらないのに。
しかもあたしの方が年上なのに。
いくらどう頑張ったってあたしにはこんな色気出せっこない。神様って人(なのかはわかんないけど)は不公平すぎる。
出そうになっていた涙をグッとこらえて、そんなことを思っているうちにだんだん距離が縮まってきている希唯君の顔を――。
『っそ、そんなわけないじゃん!希唯君のバカッ』
ばっ、とほぼ勢いで出した希唯君に触れられていない左手で阻止成功。ベチッと希唯君の美顔にはあたしの左手が貼り付いた。
やるときはやる子、それが須王香彩なのです!!
「……香彩ちゃん?」
『…、』
――ああ、調子に乗りました須王香彩。
こんなことしたら希唯君がご機嫌ななめになるって、もはや決まり事みたいなものだというのに。