Love.Love.Loving!
バカバカ希唯君のバカ!なんでそんなこと言うのバカ~…。
今までと同じように拗ねて言い返してくると思ってたのに、そうじゃなかった希唯君のセリフにカッとなってしまったあたし。
確かに好きな人がいるから希唯君にキスされるのは嫌だ。――嫌、だけど。〝ダメ〟と言ったときにあたしの中には〝嫌〟の言葉は存在しなかった。
自然と口から出た声は〝ダメ〟を言っていた。
なんでかな、たぶんきっと。その文字があたしの中に存在しなかったってことは、あたしはそれを言いたくなかったんだと思う。
でも、希唯君は言わせた。あれはあたしにわざとそう言わせるように仕向けた言い方だった。
――どうして?
〝ダメ〟って曖昧な感じだったから?本当にはっきりあたしに嫌って言わせたかったの?それともただの意地悪――?
なんて、そんなこと希唯君に聞いてみないとわからないけど、あたしはそう言われてバカって50回思うぐらいにはムカついた。
バカバカバカバカバカバカバカ。
「…なんで泣くの」
最初はキッと睨みつけていたのに、溢れてきた涙に負けて今は涙を零すしかないあたし。
なんで泣いてる意味がわかんないの、って、泣くところでもないところで泣いているあたしに心の中で毒を吐かれる希唯君は理不尽。
少し沈黙を作って、困ったような表情で「…ごめん」ぽつりと希唯君。