Love.Love.Loving!

「意地悪すぎた?」

『―…っ、意地悪、で、言ったの』

「んー…、ほぼ、ね」

『バッ、カ。希唯君の、バカ、』

「うん、バカじゃないけどごめんね香彩ちゃん」


やっぱり…。

ただの意地悪だったんだ…。


希唯君の曖昧な返事に特になにも思わずに、モヤモヤして胸に突っかかっていたものがとれていく感じ。

困ったように眉を下げながらあたしの右手に重なっていた左手で利き手じゃないからかぎこちなく涙を拭ってくれるその表情も、あたしが泣いているからと理由はそれだけだと思い込んで。


なにも気づかないまま泣き続けていると、

『…!!?』

自分の顔から離したまま希唯君がずっと持っていたあたし自身の手に――正確に言えば人差し指に超違和感。な、な、なに!?


慌ててその違和感のある手に目を向けると――ノー!!!なななななにしてるの希唯君!!

ぶわわわわっと耳まで顔を赤くせずにはいられない、ていうか今すぐにでもやめさせなければならないとんでもないことを希唯君はしていた。

――希唯君は、あたしの人差し指をぱくり、口に咥えていた。


『の、のののの、のいく、』


衝撃的すぎる展開に頭も舌もうまく回らなくて、やめて、って言いたいのに希唯君の名前を言うのが精一杯。

の、希唯君のバッカ!マジで希唯君バッカ!エッチ変態もうバカバカバカああああああ!!!

これこそ泣かずにいられるか、っていう話で。
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