Love.Love.Loving!
「お前、傷つけたいの?」
「…かーや」
『…、』
「……かぁかぁ」
『…、』
「………香彩ちゃん」
『…、』
「…怒ってる?」
『……オコッテル』
さっきまで居たベッドから場所は移動して、いつも先生が座っているであろう椅子を借りて座っているあたしはぶすっと膨れっ面。
あたしの前に丸椅子を借りて座る希唯君はしょぼんとあたしの手をとりながらしょぼくれている。
廊下で意識を手放したあと、どうやらあたしは希唯君にここ、保健室に運ばれてきたらしい。
運ばれてくる前の記憶――希唯君にどうやってここまで運ばれたか、なんとなくだけどあたしは覚えてる。
どうやって、なんて恥ずかしすぎるから絶対口には出さないけど、そのときを思い出すだけで顔が赤くなるからもうその記憶は封印っ!
それであたしは保健室のベッドで夢を見て、希唯君に起こされて(目が覚める前感じた冷たい感覚はなんだったのか謎)、さっきのことがあって今に至る。
「だって香彩ちゃんが〝嫌い〟って言うから…」
手にとるあたしの手の中指に巻かれた包帯を見ながらいじいじと希唯君は言う。
そう、あたしは希唯君に指を思いっきり血が滲むぐらい噛みつかれたのだ。
その理由は希唯君が言う通りあたしが希唯君に〝嫌い〟と言ったから。だけど、あたしにそれを言わせたのは希唯君本人でもある。