Love.Love.Loving!

希唯君が言ったのだ。

[俺ね、恋愛で好きか嫌いか聞かれて〝普通〟とかいう答えはなしだと思うんだよね]

と。

だから言われた〝好き〟にあたしは希唯君のそのセリフに従って恋愛としては好きじゃないとはっきり答えたのだ。


しかし、自分がそう言ったくせに、本当に言われるとなんかムカッとしたらしい。で、指があったから噛んでやった、と。

ちょっと、てかかなり理不尽すぎて指にくっきり血が滲んだ歯形がついたあたしはそういうわけでプンプン怒ってるなう。

ムカッとしたからって。指があったからって。噛むか!?普通。希唯君のバカッ!


『…普通はなしって希唯君が言ったんじゃん』

「でもでもでも…っ!」

『バカッ』

「(ガーン)」


ぴょっこりと犬耳を生やした希唯君がショックを受けたみたいだけどあたしはツーンと無視をする。

だって本当に痛かったんだもん。

容赦なさすぎてちょっと希唯君それでもほんとに男の子?てか、あたしのことす…っ、好きじゃないの!?って、信じるって決めたのに疑ってしまうぐらいには酷いと思った。

仮にもあたし、女の子なのに…。希唯君ってちょいちょいあたしのこと女の子だって忘れるよね…。


そっぽを向きながらもそんなことを思ったらなんだかあたし結構可哀想で泣きたくなってきた。

なんて、あたしの心情とは裏腹に落ち込んでいたはずの希唯君はさっきの今でもう復活したのか垂れていた犬耳をぴょこぴょこと嬉しそうに立てて声を弾ませ、


「ねっねっ、でも香彩ちゃん!歯形お揃いだねっ」
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