Love.Love.Loving!
可愛すぎる男の子(希唯君)にメロメロ~状態なあたしに可愛すぎる男の子(希唯君)は指が見えるようにグーにした手を見せてくる。
それに気づいたあたしは、ん?とそこに視線を落とす。
と、綺麗に整えられた爪に、見える細い4本の指の中でなにやら青紫色の噛まれた痕を残す指が1本…。
『…、』
その痕を見つけた瞬間、あたしはピシリと一時停止。胸に突っかかっていた〝なにか〟もすっ…と溶けていく。
そそそそれ、は…!!
ひやり、冷や汗が頬っぺたを伝う。青ざめたまま一時停止から再生したあたしはギギギギ…ッとロボットみたいな動きで希唯君を見やる。
目が合った希唯君はにっこり、笑っていた。ただし、その笑顔は怖い。その一言に尽きる可愛いとは無縁の笑顔。
試しにあはっと笑ってみせたら、希唯君の笑顔がさらに深まった。
ひゃあああ…。
これは、怒っているのか。いや、間違いない。これは確実にキレてる…!!
希唯君の指――あたしと同じ中指に残る痕はたぶん、ていうか200パーセントあたしが昨日希唯君の指を噛んだときの傷だ。
でもあたしが希唯君の指を噛んだのは希唯君が酷いことをしたから希唯君の自業自得なわけで。
…んん、それでも噛むか普通ってなるよね。結局はあたしも人のことを言える立場ではなくて。
ああ、それで〝お揃い〟なのか。
希唯君のセリフを理解して、なんとも嬉しくないお揃いだと、なんで中指チョイスしたあたし!と後悔する。