Love.Love.Loving!
ていうかあたし、まだ指噛んだこと謝ってないよ…。
希唯君はあたしの指に包帯を巻きながら(男の子のくせに上手くってなんか悔しい)、〝ごめん〟と謝ってくれた。
人の身体に傷をつけてしまったのだ。たとえ希唯君が悪かったとしても、傷をつけてしまった以上はあたしも悪い。
ちゃんと謝っておかなくちゃ――そう思い、『っの、希唯君!』若干びくびくしながら名前を呼んでしどろもどろごめんねの四文字を言えば、
「謝らなくてよかったのに」
なんて。
でも希唯君怒ってたんじゃ…?
恐怖の笑顔は消えてすっかりもとの希唯君に戻った希唯君の返しにぽかん、と呆けてしまうあたし。
じゃ、じゃあさっきの笑顔はなんだったの!?あんなに怖かったのに!どうゆうこと!?
よくわからない希唯君に頭の中がぐるぐると混乱する。
本当はあたしの反応を楽しむだけに浮かべた笑顔だって、希唯君に遊ばれていたことに気づくはずないあたしは涙目で意味不明なことを言う希唯君をじっと見つめる。
瞳に映る希唯君は見ること不可能な心の中で実は「(かっ…、わい)」なんちゃらかんちゃら、とにかくキャーキャーしてて、外では仮面を被ったノーマル希唯君。
…いや、嘘。ノーマル?嘘嘘、この表情のどこがノーマルなもんですかっ!
内の心情とは真逆に手にとるあたしのを持ち上げて、包帯の上から自分がつけた歯形にチュッと唇を落とす希唯君はお色気ムンムン。
長い睫毛が頬っぺたに影を作る伏し目がちなそれに弱いって、知ってしまった。