Love.Love.Loving!
『…ん、ふっあ、』
あたしの逃げる舌とそれを追ってもう逃がさないと絡めてくる希唯君の舌。
こんなキスはあのファーストキスを奪われたとき以来で、経験数で言うなら二回目となるあたしがこういうときどうしたらいいのかわかるはずがない。
だから希唯君にされるがまま状態が続いていて、希唯君のワイシャツをギュ…ッとシワになるぐらい強く握って大人しく受け入れるだけのあたし。
一瞬、離れたと思ったらまた塞がれて。希唯君、って名前を呼ぶ暇も息をする暇もない。
乱暴的に続けられるそれに嫌もやめても言葉にはできないけど行動には出せるのに、それをしようとしないあたしは本当にどうにかしてしまってる。
どうしようどうしよう。
なんて思ってみても、希唯君のキスで頭の中の思考回路はめちゃくちゃで冷静になることは絶対に不可能。
ゆっくり考える余裕も口内を攻め立てられたままじゃないに等しい。ていうか、ない。
無抵抗で、〝あの人〟のことも忘れて希唯君を受け入れているあたしはまるであたしじゃないみたい。
今のあたしは言うなれば偽物で。
だってありえない。ずっとずっと希唯君よりも先に出会って好きになった〝あの人〟よりも希唯君の存在が大きいなんて。
こんなの夢かなんかに決まってる――って、そう思いたいけど、現実だって思い知らされるものが多すぎる。
湯気が立ちそうなほど熱い頬っぺたにぽろぽろ落ちる涙。ドキドキなんか通り越して壊れちゃいそうなぐらい煩く騒ぐ心臓。
握る希唯君のワイシャツと後頭部に回された希唯君の手。
それと水の中に溺れたみたいな苦しさに――だけど心の奥の隅っこの方で小さく思うやめてほしくないって気持ち。
あれもそれも全部希唯君が与えてくれる――〝現実〟。