Love.Love.Loving!
希唯君のワイシャツから手を離して涙を拭っていたあたしは完全に油断していた。
ギュッて言葉と共にギュッと抱きしめられたあたしの身体。残念ながら守っていた胸も希唯君にくっ付いてしまった。
泣き止むどころか最悪。やだやだマジでやだ!希唯君のバカー!
声に出してやだと言って。
希唯君の腕の中で暴れていた(殆ど身動きできなかったが)あたしを黙らす希唯君の甘美な低音が突然、
「俺、本気だからね。香彩のこと」
『(…っ、また呼び捨て…!)』
「ん、まあ、さっきの野郎じゃねぇけど、」
――頭ん中、俺一色にさせるんで。
上げた顔にかち合ったブラウンの瞳。ニッと不敵に持ち上げられた希唯君の口角。ドキドキはもはや限界を越えた。
真っ赤なりんごになりながら、希唯君かっこいー…って、見惚れる反面。
恥ずかしいやらありえないやらで口をパクパクさせるあたし。
「んじゃ、そういうことで。よろしくね?香彩ちゃん」
『か、かかか彼女…っ、』
「うん。香彩は、俺のカノジョっ!」
『(ノー!!!)』
6月下旬。もうすぐ7月が始まる手前、好きな人がいるあたしになぜか彼氏というものができたそうです。
『(夢なら覚めてお願い…!!)』