Love.Love.Loving!
「俺以外考えらんねぇ頭にしてやる」
『(…あ、そろそろ出なきゃ)』
ベージュのカーディガンのポケットから取り出し開いて時間を確認した携帯を再びポケットへ。
閉めてある洋式トイレの蓋の上に座ろうかと思ったけど、んんー…って考えた10秒間。やっぱり座らないことにしたのはつい7分前。
キィー…っと静寂の空間にドアが開く音。
そこからぴょこっと顔を出して慎重な顔つきをするあたしを他の人が見たら、トイレから出てくるだけでなんつー表情してんだときっと怪訝に思うと思う。
だけど、このトイレに居るのはあたしだけだ。
そんなこと思われる心配もなくて、慎重にならなきゃいけない理由もちゃんとある。
『(…うん、大丈夫そう)』
そう確信したら、あたしは区切られた箱の中からそーっと出た。
そして、次がほんとにほんとに慎重にならなきゃいけないこれこそ本番。
こそこそ。出口のところまで出てきたあたしは隅っこの方に身を潜め、トイレから外の世界をキョロキョロ偵察。
人っ子一人いないシンとしている廊下。大丈夫――…って、ダメダメ。出ていくのはまだ早いぞ香彩!