Love.Love.Loving!
もう一度、瞳が乾いちゃうほど目を凝らしながらキョロキョロと偵察。
見渡して見渡して。今度こそ大丈夫だと小さく一人で頷くあたしは刑事か。…一人じゃ本物は頷いたりしないと思うけど。
トイレから出れば抜き足差し足忍び足。今度はまるで泥棒の気分。静かに、足早に歩き出す。が、その僅か20秒後。
「香彩ちゃん見ーっけっ」
ノー!!全然大丈夫じゃないじゃんあたしのバカー!
3日前と同じ。昨日一昨日と変化ゼロ。
きゅるんっと可愛い効果音が付きそうな、この短期間でもう聞きたくないと思うまでにきてしまっている希唯君の跳ねた声。
ギュッと後ろから抱きしめられればもう逃げられない。
あたしの中じゃ希唯君は敵になっていた。え、彼氏?ちっがーう!希唯君が強引にあたしを彼女にしただけで、あたしは彼女になった覚えないもんっ。
希唯君の腕の中でじたばた暴れるあたしは本気で嫌がる。のに、希唯君はそんなのお構い無し。
『やだやだ。離してよ希唯君!』
「その君付けやめよーよー」
『嫌っ!!』
「…香彩んことかぁかぁって呼ぶぞ」
『いーやーだー!カラスみたいじゃんかぁ…』
「じゃあ希唯って言って?」