Love.Love.Loving!

「つーか香彩、響と飯食ってねぇの?」


卵焼きをあげたのに他のおかずにも手を出して、殆ど残りのお弁当を食べた奏君は「ごちでした」汚れた指をペロリと舐めながら言う。

奏君が言うことに。出てきた名前にビクリと反応する身体。


「香彩?」

『…っえ?あ、あー…うん』

「なんで?響になんか言われた?」

『う、ううん。なにも言われてないよ』


ふにゃっと浮かべて見せた笑顔は少し、作り笑い。

そんなあたしの笑顔が、長い付き合いの奏君には偽物だってすぐにバレてしまう。


「俺、嘘つきは嫌いだけど?」

『ほんと、だよ…?』

「なに言われた?」

『だから言われてないよ…。あたしが…、』

「…香彩が?」

『…っ響にも、奏君にも、迷惑かけたくないだけなの…』


さっきまでの奏君とは違う。あたしを心配してくれるお兄ちゃんの表情。

作り笑いを浮かべたあたしに眉を顰めた奏君は、今のあたしのセリフでさらに眉を顰める。

太股の上に乗るお弁当箱を見つめるあたしに、「わかってねぇだろ香彩」怒気を孕んだ声が飛んできた。
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