Love.Love.Loving!

『希唯君と同じこと言うんだもん…っ』

「…希唯君?」

『そう!だ、よ…』

「…、」

『(…はっ!しまった!!)』


つい、思わず。ぽろりと口から出てしまった〝希唯君〟。きょとんとする奏君にそれを繰り返され、あたしの顔はサァーッと青ざめる。


言っちゃった言っちゃった言っちゃった…っ!


希唯君が入学してから僅か3日前まで。全くもって希唯君との関わりがなかったあたしが希唯君の名前をいきなり出すのはおかしい。

と、奏君は絶対思って疑ってる。もう端整な美顔がそう言っている。ああああ。やってしまった。


「希唯君ってあの翅由希唯?」

『ちちちち違うよ!?』

「…、…嘘つき嫌い」

『(ぐっ…)そう、です…』


わーん。奏君の鬼ー!

イケメンの真顔は怖い。奏君に〝あの〟希唯君じゃないと否定しても通るわけがなく。白状するしか術はない。


ずっと、言わないつもりだった。

いきなり現れて希唯君に好きだと言われたこと。彼女発言されたこと。追いかけ回されたこと(逃げた経験は今日だけだけど)。

希唯君と関わってしまったことは、誰にも自分からは言わないでおこうと思ってた。
< 37 / 149 >

この作品をシェア

pagetop