Love.Love.Loving!

希唯君には奏君や響みたいに〝きっと〟じゃない。ちゃんと彼女という存在がいる。左手薬指で光る指輪がその証だ。


あたしが言わなくても、希唯君は学校内の王子様で人気者だから。

黙ってても希唯君があたしなんかと仲良くしているということがいずれ校内で、特に女の子の間で持ちきりになるはず。

それに、あたし。言わないつもりだなんて思っても、報告する人は奏君か響と限られているのだ。

華の女子高生らしく女の子同士恋バナで盛り上がる、なーんてことは、あたしにとって夢なのだ。


悲しかれ、華の女子高生。

うう…。


「ふーん。翅由希唯の女って香彩だったんだ」


納得したような口ぶりでそう言う奏君。

その口ぶり、セリフからして希唯君の左手薬指の指輪の存在を知っているんだろう。…まあ知らない人の方が珍しいけど。


それは誤解だ奏君。『ち、違…っ、』否定の言葉を言おうとすれば、「あれ?」奏君からなにか思い出したかのような声。

いきなり、左手を手に取られたあたし。


『なななな、』

「なんで香彩は指輪してねぇの?」
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