Love.Love.Loving!

一粒零れたら、そこからあたしの涙は次に次にと落ちていって。

焦る男の子が「…先輩?」まさか後輩だったとは。泣くあたしに触れようと未だ出していた右手を伸ばした瞬間。


「――おいコラ。なに触ろうとしてんだ」

『…っ!?』

「いでっ」


凄みを利かせたバリトン。

あたしの身体は後ろから回ってきた腕にクイッと少し引かれ抱きしめられて、男の子は小さく受けた痛みを声にした。


だ、誰…?


俯いていた顔をそっと上げ、誰なのかと確かめたら。


『(う、そ…)』


この学校の中じゃ知らない人はいないっていうほどに有名な男の子、翅由希唯(しゆう のい)君の端整な美顔が見上げる先にあった。


え、ええええ。ななななんで…!?


これこそ本当に予想外。瞳を丸くして希唯君を見つめるあたしは軽く、いや、かなりパニックに陥っている。


翅由希唯君というのは、1年生でありながら学校の殆どの女の子を虜にしてしまっているいわば校内ナンバーワンの男の子。

スラッとした細身の長身な身体。

そんじょそこらのアイドル芸能人なんかよりもめちゃくちゃかっこいい日本人離れした美顔。
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