Love.Love.Loving!
『…希唯君?』
本当に真っ正面まで希唯君は来て。上からじっと見下ろされる。なんだろう…。希唯君、怒ってる…?
威圧感というかなんというか。明るい希唯君の面影は今の希唯君には、ない。
名前を呼んでも希唯君は黙ったままで。『希唯く、』もう一度名前を口にしようとすれば、すっと頬っぺたに添えられた右手。
そのまま、希唯君は被せていた影をゆっくり落としてきて。漏らした声。希唯君がなにをするのか予想なんてしてなかったあたしは無抵抗で唇を塞がれた。
『んぅ…!?』
簡単に唇を割られ、侵入してきた生暖かいもの。舌に歯列をなぞられて、背中にゾゾッと変な感覚が走る。
な、に、コレ…。
逃げる舌を追いかけて絡めてくる舌。漏れる自分の吐息。わざとなのか鳴らされる水音。頭がくらくらして、息が苦しい。
やだ。やだやだやだやだ。
その言葉しか出てこなくて。離れてほしい一心で前に出した手で希唯君の胸をドンッと押した。
つー…と引いて、プツリと切れた銀糸。肩で呼吸をするあたし。濡れた赤い唇を開く希唯君。
「香彩がそんなんなら俺、もう待ったりしねぇし遠慮もしねぇ」
『…っ、は、』
「嫌だっつったり、泣いても知らねぇ。俺以外考えらんねぇ頭にしてやる」
力強い、真剣なブラウンの瞳は、泣くあたしを捉えてそう宣言したのだった。