Love.Love.Loving!
ちゃんと、ちゃんとね。あたしにも夢があったの。好きな人と初めては全部したいって。でも――…。
『(…もう、キスは無理、なんだよね…)』
頭まで被る布団の中で、そっと指先で触れる唇。そこに触れた希唯君の唇の柔らかさとか温もりとかがはっきりとまだ思い出せて。
『(やあ…)』
ゴシゴシと希唯君の感触を消すように手の甲で唇を拭う。
そうやって昴の疑問符に返事をしなかったら、昴はなにかあったと肯定したらしい。
「また、いじめ…?」
――…ビクン
昴が言った語尾の三文字に唇を拭う手の動きが止まる。身体が、無意識に反応した。
違う、と唇から零れた声は小さくて掠れていた。まだ、ダメみたい。ちょっとは強くなったと思ったのに。
小さかったそれをちゃんと聞き取ってくれた昴は、
「嘘じゃねぇよな?」
バリトンを低く下げて、確かめるように一文字一文字はっきりと言う。あたしは無言でこくんと頷いた。
そしたら「そっか」って、安心したように言ったセリフ。ぽんぽんと頭を撫でてくれたから、思わず泣きそうになった。