Love.Love.Loving!
適度な長さのココア色に染められた髪はふわふわパーマが当てられていて。耳たぶに軟骨と、たくさん開けられたピアスはどれも可愛い。
そんなオシャレでルックスかなり最高ときた希唯君の左薬指には、彼女がいる証がはまっている。
その指輪の存在に、希唯君の虜になっている女の子たちは二つのタイプに分かれていた。
彼女がいるのかと諦め好意の視線だけを向ける人。そんなの関係ないと希唯君に近づき告白したりする人。
その、二つ。
でも、あたしはどちらにも当てはまらない学校じゃ稀な人間で。もちろん、好きな人は希唯君じゃない。
他の女の子たちみたいにかっこいいとは思うけど、希唯君に対して思う感情はそれだけ。
第一、喋ったことないし。
いつも遠目から今日も騒がれてるなぁって、特別気にも留めなかった。
あたしがそんなんだから、希唯君があたしの存在を知っているとは到底思いもしないし、高校生活の中で喋ることもないだろうと思っていた。
――のに。
なんで、希唯君がここに居る?なんであたしは抱きしめられてる?
『(もしかして夢、とか…)』