Love.Love.Loving!

希唯君のセリフに男の子はぷっつんと怒りを露わにした。

それにビクッと希唯君の腕の中で身体を跳ねさせたあたしに対し、希唯君は「あのさー」間延びした口調で続ける。


「しつこい男は鬱陶しいだけよ?」

「あ!?誰のこと言ってんだ」

「お前のことに決まってんだろー。香彩ちゃん無理っつってただろーが」

「…っ、でも俺は、好、」

「――うざいだけだっつってんだろ、しつけぇ」


ピリリ。空気が変わる。柔らかだった希唯君の口調が最初よりもずっと凄みを利かせた鋭い口調になって。

怒っていた男の子の言葉を遮ってそのまま希唯君は、

「まずお前が香彩ちゃんと付き合えるわけねぇじゃん。ふざけんな死ね。さっさと消えろ」

ええええ。言い過ぎだよ!!


そこまで言うことない希唯君のセリフに思わず顔を上げてしまうあたし。

ギョッとしながら希唯君を見上げるあたしに希唯君は気づいたのか、上から「ん?」ふんわりとした笑みをくれた。


その、変わりように。

ビクッと跳ねて涙を再び浮かべたあたしはきっと大っ嫌いなホラー映画よりもずっと怖いものを目にしただろう。
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