Love.Love.Loving!
それからは大嫌いな英語の課題を本気でしたくないから宮先生と口論。もはや半泣きで断固拒否を訴え続ける。
『宮先生!』
「しつこい」
『忘れたのはごめんなさい!でも、』
「謝ったって課題追加は決定。須王はテストの点も悪いんだし、勉強になるだろ」
『(ゔ…)』
テストのことは言われたくなかった。それを言われてしまえば、反論できなくなってしまう。
引くしか選択がなくなったあたしはしょぼんと下を向いた。もう仕方ないや…。忘れる自分が悪いから諦めよう。
カーディガンの裾で濡れた瞳を拭う。ゆっくりと顔を上げようとした、瞬間。
「香彩ちゃんってバカだよね」
いきなり鼓膜を擽ったバリトン。え、と思ったと同時に左手をパシッと掴まれ引っ張られた。
『(なんで…っ)』
あたしを香彩ちゃんと言った声。左手を掴む温かい大きな手。驚きで見開く瞳に映るふわふわのココア色の髪。甘い香水の匂い。
現れた人物にドキン…ッ、と胸が跳ねた。
…希唯君…っ。