Love.Love.Loving!

手を掴まれて、そのまま広いけど通路はあまり広くはない職員室を駆け出した希唯君。

グンッと突然駆け出したから引っ張られて足が絡み、思わず前に倒れそうになった身体をなんとかとどめ、そこからは引っ張られるがまま。

いきなりの希唯君の登場に、宮先生も呆気をとられたのだろう。


「な、おい、コラ待て須王…っ!」


その怒号が飛んできたのは、早すぎる希唯君の足のおかげですでに職員室から廊下に出る手前だった。


そして、廊下に出てからも走る足は止まらない。

ふわふわのココア色を靡かせながら前を走る希唯君に、手を掴まれ後ろではぁはぁと息を乱しすでに限界を迎えているあたし。

職員室に来るためにほんの数分前にも全速力で走ったのだ。

そのあとすぐにまた意味もわからず全速力に近いスピードで走ることになるなんて――…マジで意味わかんない!

そもそも希唯君がなんでいきなり現れてあたしを連れ出したのかが疑問だ。


希唯君は大事なファーストキスを奪った最低な男の子。あたしの許すまじ敵。

それなのに、掴まれている手が熱い。そこだけが、妙に熱を集めている。
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