Love.Love.Loving!
「許さねぇかんな」
凄みが利いた低音。顔を上げた隙を突かれ頬っぺたを両方大きな手に包まれて、グイッとブラウンの双眼とかち合わされた。
セリフと声だけだったら怒ってると思ってしまってもいいだろう。
けど、希唯君の表情を見たら怒ってるなんて微塵も思えない。
ふんわりと弧を描く口元にきゅっと細められているまん丸い二重瞼の瞳は優しげで、頬っぺたは包まれながらかあっと朱に染まった。
悔しいけど、やっぱり、…かっこいい。
「へへっ。1日ぶりに香彩に触れた」
ふにゃっと小さな子供みたいに笑った希唯君の表情にドキンッ。胸が高鳴り心臓がさらに煩くなる。
『(バカぁー…)』
そんな表情、やだ。そんなこと言わないでよ。
好きな人でいっぱいの心が荒らされてしまう。希唯君が入り込んでくる。いくら拒否したって、ずかずかと遠慮もなしに入ってきて心に居座ってしまう希唯君。
居座った希唯君は、好きな人よりも存在が大きくて。
「…なんつって。香彩が俺に言いたいよな、そんなこと」