Love.Love.Loving!
香彩すきーって、ギュギューッと力を入れてさらに抱きしめてくる希唯君に言いたい。痛い、と。
でも、なんか今は言えなくて。言う空気でもないし。
あからさまに露わになっている嬉しいって気持ち。好きとか大好きとか言われて恥ずかしいけど、嫌って感情はわかない。
希唯君には彼女がいて、あたしには好きな人がいるのに――…って思い、嫌だと前も、さっきまで思っていたのに。
なんだろう…。胸がほわほわして温かい。自然と垂れていたあたしの手は希唯君の背中に回っていた。
「…え、え、え!?香彩!?」
『(うわっ、あたし…!!)』
希唯君の素っ頓狂な声にはっとして、慌てて背中に回した手を離した。
と、すぐに希唯君も身を引いてあたしと距離を開けて。
あたしを見つめる瞳は驚いたように見開き、ぱちぱちと瞬きを繰り返す。
自分の出した行動に自分自身もびっくりすると同時にめちゃくちゃ恥ずかしくって。真っ赤っかになった顔を背ける。
心の中では自分に向かってバカバカと何回も連呼した。
「かーあーやーっ」