Love.Love.Loving!
なにがそんなに嬉しいんだ、って予測はできているのに思ってしまう。そんな弾んだ声色であたしの名前を語尾に音符を付けて紡ぎ。
と、思ったら。チュッと頬っぺたに音を立てて触れた柔らかいもの。
一瞬、思考が停止。した、けど。すぐに覚醒した頭で触れたものは唇だと確信して。ちゅ、チュウされた…!!
背けていた真っ赤っかな顔を希唯君の唇が触れた方の頬っぺたを手で押さえながら勢いよく希唯君に向ける。
なにすんだ!って意味をふんだんに込めてキッと鋭く睨みをきかすが、涙が浮かんだ瞳では迫力の欠片すらないだろう。
「香彩りんごみたーい」
だ、れ、の、所為よ!
にへっと笑った希唯君に少しばかりイラッとした。
迫力がなくって、睨んでるってことに気づかれてなくてももういい。「俺、りんごすきだよー」って、そんな情報いらないんだからっ。
あたしの真っ赤な顔と、希唯君の好きな物を絡めないでほしい。
効果ゼロな睨みで希唯君を見ていると、また頬っぺたの上。手の甲にチュッと音がなる。我慢はできなくなった。
『ののの、希唯君!!』