わがままいって困らせて【短】

「怖かった…っ、琉、離れていくんじゃないかって!怖くて……」

ぎゅうっと抱きしめられた。
琉の温もりにさらに涙が溢れる。

「あたし、わがままだから…、可愛くないし…
もう、わがまま言わないから。だから、そばに、いてください…」

琉は黙って聞いてくれる。

「わがまま言っていいよ。いや、ちがうな。
咲にわがまま、言ってほしいんだ。」
「…っ……」
「わがまま言ったって良いよ、変わろうとしなくて良いから。
ごめんね、咲のこと1番わかってるのは俺のはずなのに、泣かせちゃったね」

謝らないでと首をふると、ぎゅーっと力強く抱き締められた
今、二人の髪をゆらしているのは同じ風

「全部話して?」
「琉が、ゆりちゃんと2人でいるところをみてあの子のこと好きなのかなって思った。」
「うん」
「そしたら、不安になって。あたしが可愛くないから、わがままだから、ダメなんだって思って…」
「うん」
「そうやって考えてたら悪いとこしか浮かんでこなくて…。」

どんなに泣いても、大丈夫と背中を撫でてくれる






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