愛のカタチ
小走りでバス停まで向かっていると、携帯が震えた。
着信は会社名になっているが、相手は瀬戸さん。
私がそう登録していたのだ。
「もしも――。」
「どこ行くの?」
そのセリフが一番に聞こえた。
「…どこからかけてるんですか?」
「あ?あぁ、会議室。
だから、どこ行くの?」
いきさつと目的地を話す。
「ふうん、大変だな。」
ニヤリと笑う顔が浮かんだ。
「もう切っていいですか?」
バス停を見つけて、そう言った。
「あー、あのさ。
俺、明日から本社に出張だろ。」
「はい。」
その話しは聞いていた。
「準備とかあるから、悪いけど今日メシ作ってくんない?」