愛のカタチ


苦笑いする私に、大袈裟に頷く林さん。

その時、聞こえた携帯の着信音。

「すみません、僕です。
あぁ、会社からだ。ちょっと失礼します。」

慌ててその場から席を外した。

林さんの行動にまた、二人で笑う。

「元気そうで、安心したよ。」

……知ってるんだ。

漠然と、そう感じた。

「はい。」

「バレーはもうやってないの?」

「ええ、もう。野口先輩は?」

確か、大学に進学してからもバレー部に入部したと聞いたような。

「あぁ大学でもやってたけど…。4年の時に靭帯やっちゃって。」

そうだったんだ…。

「そうだったんですか…。
すみません、知らなくて。」

一瞬、寂しそうな表情に見えた。

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