愛のカタチ
何だか長い一日だったと思いながら、久し振りに自分の部屋へと足を向ける。
明日は土曜だから街の雰囲気も心なしか華やいでいるようだ。
ポケットの中で聞き慣れた音楽と振動が、着信を伝える。
誰だろう。
登録されていない、覚えのない番号を不信に思いながらもボタンを押した。
「……。」
「もしもし。」
男の人の声。
「………。」
「金沢さんの携帯…ですよね?」
「…はい、そうです。」
街のざわめきが、うるさい。
「美波?野口です。」
あ、野口先輩。
「こんばんは!すみません、番号登録してなかったもので…。」
笑い声が向こうから聞こえた。